1.ダッチオーブンのシーズニング
(1)錆止め剤(ワックス)の除去
1)購入時の鍋の表面
ダッチオーブンの素材は鋳物=鉄でできているモノが大半です。※最近ではステンレス製のダッチオーブンも販売されています。
鋳物=鉄の大敵は錆(さび)です。鉄なので、水分や塩分が表面にあるとどんどん錆てしまいます。
錆が進行すると、最終的には使用できなくなってしまいます。
市販されているものは、商品の為、使用前に錆を発生させるわけにはいきません。
なので、表面に錆止め塗料や錆止めワックスを外面だけでなく、内面(食材が触れる面)にも塗装しているのです。
その為、この錆止め剤を除去する必要性があります。
ワックスを落とす前は、青っぽい色です。
2)錆止め剤の除去後
表面の錆止め剤を除去したあと、放置しておくと表面が徐々に赤茶っぽく変化していきます。これは、早速表面の赤錆が進行している証です。
赤錆の進行を止めるために、鉄表面になんらかの新たな被膜で覆うことで、赤さびの進行を防ぐ必要性があります。
方法としては、
①表面を黒錆で覆う。
②オイルを表面に塗る。
方法があります。
(2)黒錆の形成
1)黒錆ってなに?赤錆との違いについて
科学式で黒錆・赤錆を表記してみると黒錆はFe3O4(四酸化三鉄)
赤錆はFe2O3(酸化第二鉄)
鉄の元素数と酸素の元素数の違いでどう変わるのって感じですが、同じ錆でも異なります。
モノって空気中の酸素と安定を求めて結びつきたがっています。
(=酸素と結びつく事が酸化であり、燃焼とも言います)。
特に鉄ってFeだけだと不安定なのですぐに酸素と結びつきたがります。
で、これらの錆をイメージで説明すると、
①黒錆ってイメージとしては、がっちりスクラムを組んで隙間がなく離れにくい状態です。
その為、表面に黒錆被膜を形成すると、酸素がその中に入り込めなくなります。
(=中に錆が進行しにくい状態)なので、表面だけが黒錆のままなのです。
②逆に赤錆って、隙間だらけなイメージです。なので酸素(O2)が中に入り放題。酸素が中に入ると又赤錆ができて、でその隙間に又酸素が入って赤錆ができて、といった無限ループが出来上がり、硬い鉄がさびるとボロボロになっちゃいます。
2)黒錆のつくりかた
なら全部表面が全部黒錆になればよいのに、なんで自然に発生するのは赤錆ばっかりなんだよ!!って感じですが、黒錆が発生するのは条件が少し特殊なのです。黒錆の作り方は以下の通りです。
①鉄をガスバーナーで高温に加熱する。
鉄を高温で加熱(600℃以上)する事で 高温の水蒸気が発生します。
この条件下だと、鉄と高温の水蒸気が酸化還元反応が発生し、黒錆が発生します
(3Fe+4H2O ⇒ Fe3O4 +4H2)
ただし、鉄と黒錆は熱収縮率が異なるので、急激に冷やさず、ゆっくりと覚まさないとせっかくできた黒錆が剥離しちゃいます。
要は、ガスバーナーでガンガンにこれでもか、ってくらい炙ってゆっくり、ゆっくり冷ますと黒錆が表面にできる。
②焼き入れをする。
炭火で赤熱した鉄を水の中にいれて急激に冷やします。
高温の鉄が水を一気に気化させて①と同じ条件を作くります。
※この方法で日本刀が作られます。
③赤錆を科学的に還元させる。
薬品を使用して赤錆の状態から無理やり黒錆の変化させちゃいます。
(3)表面の炭化被膜の形成
1)表面に炭化被膜を形成させる事で錆を防ぎます。
炭化被膜って何でしょうか?ダッチオーブンのシーズニングの方法について様々な方がWEB上にアップされていますが、熱々の鍋ににオイルを塗って、冷まして、でまた熱々にして、オイルを飛ばして、でまた熱々にして…
を3回くらい繰り返します。
このオイルを塗って飛ばす行為を行うことで鉄の表面にオイル成分の炭素が残って被膜として残ります。
この時できた、炭化被膜(カーボン被膜)は、多孔性の炭化被膜を形成します。
要は、炭でできた(=熱に強い)たくさんの小さな凹凸がある薄い被膜ができます。
繰り返し行う事でこの薄い被膜が、何層にも形成されます。
よく、塗りこんだダッチオーブンを『ブラックポッド』といいますが、これは、
C=炭素=黒 の多孔性炭化被膜が形成されたので黒くなるわけです。
又、多くの凹凸が何層も形成される事で、焦げ付きにくくなります。
2.シーズニングの結論
ダッチオーブンのシーズニングとは・表面のワックスを取り去る。
・表面を黒錆で覆う。
・炭化被膜を形成する。
この3点をまとめて行う事です。
無事黒くなりました。
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